こんにちは、総合診療医かずきです。今回は帯状疱疹ワクチンについて、生ワクチンと不活化ワクチン(シングリックス®)を徹底比較します。効果・副反応・費用のデータをもとに、皆さんの状況別の予防策まで詳しく解説していきます。
帯状疱疹ワクチンには2種類あります。「乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)」と「シングリックス®(不活化組換えワクチン)」です。それぞれの特徴を科学的根拠にもとづいて比較し、どちらを選べばよいか、最後に各自の状況別に予防策を提案します。
帯状疱疹とは
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。幼少期に水ぼうそうにかかったとき、ウイルスは治癒後も神経に潜伏し続けます。その後、加齢や疲労・ストレスなどで免疫力が低下すると、ウイルスが再活性化して帯状疱疹として発症します。
主な症状・合併症
- 痛み:皮疹の数日前からピリピリ・ズキズキ・刺すような痛み
- 皮疹:皮膚分節に一致した片側性の水疱を伴う発疹
- 合併症①帯状疱疹後神経痛(PHN):痛みが3ヶ月以上持続
- 合併症②視力障害:眼の帯状疱疹
- 合併症③ラムゼイ・ハント症候群:耳の帯状疱疹。聴力障害・顔面神経麻痺
2種類の帯状疱疹ワクチン 徹底比較
①接種回数・費用
| 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス®) | |
|---|---|---|
| 接種回数 | 1回(皮下注射) | 2回(筋肉注射・2ヶ月間隔) |
| 自費費用 | 約8,000円 | 1回20,000〜24,000円 2回合計40,000〜48,000円 |
| 公費助成あり | 2,000〜5,000円 | 1回10,000〜18,200円 2回合計20,000〜36,400円 |
②発症予防効果・持続期間
| 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス®) | |
|---|---|---|
| 発症予防効果 | 接種後3.12年:51.3%減少 4〜7年:39.6%減少 7〜11年:21.1%減少 | 接種後3.1年:97.2%減少 5.6〜9.6年:81.6%減少 |
| 持続期間 | 5年程度 | 10年効果持続 |
| 神経痛予防効果 | 接種後3.12年:66.5%減少 4〜7年:60.1%減少 7〜11年:35.4%減少 | 接種後4年間:88.8%減少 |
③副反応
| 生ワクチン(ビケン) | 不活化ワクチン(シングリックス®) | |
|---|---|---|
| 注射部位 | 赤み44%、かゆみ27%、痛み14% | 痛み78%、赤み38%、腫れ26% |
| 全身症状 | 倦怠感5%未満、筋肉痛1%未満 | 筋肉痛40%、疲労39%、頭痛33%、悪寒24%、発熱18%(1〜3日程度) |
| 特記事項 | 妊婦・免疫不全者は接種不可(禁忌) | 免疫不全者でも接種可能 |
結論:不活化ワクチン(シングリックス®)を推奨
- 効果が非常に高い(97.2%の発症予防効果)
- 副反応は強いが概ね許容範囲(1〜3日程度で治まる)
- 10年間効果が持続する
- 公費助成を上手に利用することでコストを抑えられる
公費助成(定期接種)について
2025年4月から帯状疱疹ワクチンが定期接種化され、費用の一部(または全額)が助成されます。
- その年度に65歳になる方
- 60〜64歳でHIVなどによる高度な免疫機能障害がある方
- その年度内に70・75・80・85・90・95・100歳になる方も対象
60歳以上の方は今後5年以内に公費助成を受ける機会があります。ただし公費助成を受けられるのは1回のみです。
各自の状況別予防策
帯状疱疹の予防はワクチン以外に有効な方法はありません。自分の状況に合わせた最適な接種プランを確認しましょう。
50歳未満で水痘にかかったことがない・不明の方
| 水痘ワクチンの接種歴 | 対応 |
|---|---|
| 水痘ワクチン未接種 | 水痘ワクチンを2回接種しましょう |
| 水痘ワクチン1回接種済み | 水痘ワクチンをもう1回追加接種しましょう |
| 水痘ワクチン2回接種済み | 追加接種は不要。50歳以降に帯状疱疹ワクチンを接種 |
※水痘ワクチン接種群は未接種群に比べて、帯状疱疹の発生率が79%低かったことが研究で示されています。
50歳未満で水痘の罹患歴がある方
50歳以降に帯状疱疹ワクチン(生ワクチンまたは不活化ワクチン)を接種しましょう。
【余談】過去の罹患歴を信じてよいか問題:水痘(水ぼうそう)の罹患歴は信頼してよいですが、おたふくかぜの罹患歴は信頼してはいけません。水痘の皮疹は特徴的なので間違えることはほぼありません。したがって、病院を受診して「水痘(水ぼうそう)」の診断を受けた場合はそれを信じて良いと言われています。一方、おたふくかぜは耳下腺の腫脹があったときに疑われる病気ですが、おたふくかぜの原因であるムンプスウイルス以外のウイルスでも耳下腺が腫れる可能性があるので、「耳下腺が腫れた」イコール「おたふく」ではありません。そのため、おたふくの罹患歴は信じてはいけないと言われています。おたふくについては罹患歴は信じず、ワクチン接種歴を信じるべきです。人生の中で、2回のワクチン接種をしていればおたふくについては十分です。1回しか接種していない方は、追加接種を1回受けることをおすすめします。
50歳以上の方
帯状疱疹ワクチンで予防しましょう。65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の公費助成まで何年あるかで戦略が変わります。
| 公費助成 まで | 推奨プラン |
|---|---|
| 10年以上ある | 今すぐ不活化ワクチンを自費で接種 |
| 5年以内 | まず生ワクチンを接種 → 65歳で公費助成を受けて不活化ワクチンを接種 |
| 5〜10年 | 【パターン1:予防優先】今すぐ自費で不活化ワクチン → 65歳で再度不活化ワクチン(公費) 【パターン2:コスト優先】今すぐ自費で生ワクチン → 65歳で不活化ワクチン(公費) |
90歳以上など超高齢の方
- 副反応に耐えられるくらい元気な方 → 不活化ワクチン
- 体力的に副反応が心配な方 → 生ワクチン
18歳以上で免疫不全のある方
不活化ワクチン(シングリックス®)で予防しましょう。生ワクチンは免疫不全の方には禁忌です。帯状疱疹は再発する可能性があるため、ワクチンによる予防が重要です。
まとめ
帯状疱疹ワクチンは、効果・持続期間ともに不活化ワクチン(シングリックス®)が優れています。副反応は強めですが、2025年4月からの定期接種(公費助成)を上手に活用しながら、自分の状況に合ったプランで接種することをお勧めします。ご自身の年齢や健康状態を踏まえ、かかりつけ医にご相談ください。


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