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受診せずに良くする!花粉症・アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎
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はじめに

 春先は花粉症が悪化しやすい時期です。花粉症・アレルギー性鼻炎の症状は悩ましいですね。イライラして集中力もなくなってしまいます。でも、医療機関を受診するのも億劫だし、マスクやゴーグルなどで花粉症対策してもなかなか症状が改善しない方も多いと思います。どうしたら良いのか困っている方が多いのではないでしょうか。

 この記事では、医療機関を受診せずに花粉症・アレルギー性鼻炎を良くする方法を、総合診療医がわかりやすく解説します。ドラッグストアで、処方箋なしで購入できる薬でもかなり改善が期待できるのですが、どの薬を選ぶかでかなり変わってしまうので、注意が必要なのです。

 では、早速解説していきます。

花粉症・アレルギー性鼻炎ってどんな病気?

 アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる物質が鼻腔粘膜上皮に浸透してIgEを産生し、それによって鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目・鼻・喉などのかゆみ、といった症状を引き起こす病気です。

 アレルギーの原因物質のことをアレルゲンと言いますが、ダニ・カビ・ゴキブリの糞・ペットのフケなどさまざまな物質がアレルゲンになります。アレルギー性鼻炎の方は、毎年ほぼ同じ時期に症状が出ることがあります。これは、花粉が空気中に最も多く存在する時期に、空気中のアレルゲン(樹木、草、ブタクサ由来)が花粉に接触することで起こります。一方で、ハウスダストが原因になっている場合、季節に関係なく症状が続くことになるので、医学的には季節性アレルギー性鼻炎通年性アレルギー性鼻炎、という分類をします。

 一般的には、花粉と関連してアレルギー性鼻炎の症状を呈する方(医学的には季節性アレルギー性鼻炎)に対して、花粉症という言葉が使われています

放置するとどうなるのか?

 成人の約82%で仕事の質の低下子どもの約92%で学業成績の低下がみられる、という研究結果があります。その他に、睡眠の質の低下、生活の質の低下、疲労、との関連も指摘されています。適切に対応したい病気ですね。

花粉症・アレルギー性鼻炎はどうやって診断されるのか?

 花粉症を含むアレルギー性鼻炎の診断は、特徴的な症状(くしゃみ発作、鼻水、鼻詰まり、鼻の掻痒感など)や経過(アレルゲンの暴露による増悪など)と身体診察によってなされることがほとんどです。このように特別な検査を行わずに診断を行うやり方のことを臨床診断といいます。

 花粉症を含むアレルギー性鼻炎の診断は臨床診断によってなされることがほとんどであるため、多くの方は血液検査や皮膚プリックテストなどの検査は不要なのです

 では、血液検査や皮膚プリックテストといった検査はどのようなときに必要なのでしょうか。

 われわれ医師は、臨床診断でアレルギー性鼻炎の診断を下し、誘引となるアレルゲンを推定し、治療を開始します。その上でさらに、アレルゲンを検査を行うことによって、より患者さんにメリットが得られる場合にのみ検査を考えます。例えば、原因アレルゲンを特定することで回避策を有効に講じることができそうなとき、免疫療法を考慮するとき、などが考えられます。逆に、そういう状況でなければ検査は基本的に不要ということです。

 では次にアレルギー性鼻炎の症状について解説します。

花粉症・アレルギー性鼻炎の症状

 よくある「鼻」や「目」の症状以外に、「喉」「耳」に症状が出ることもあります。一方、「発熱」はアレルギー性鼻炎の症状らしくないので、ウイルス性上気道炎(いわゆる「感冒」)や副鼻腔炎などを考えなければなりません。

 医療機関を受診しても特別な検査は行われないことが多いので、上記の症状がある程度揃っていればアレルギー性鼻炎と判断して大きく間違えることはありません。さらに、花粉の飛散時期に一致して症状が出るようであれば花粉症と考えて良いでしょう

 一方、2歳未満のこどもではアレルギー性鼻炎は一般的ではないとされているので、他の疾患を考えなければなりません。ご注意ください。

花粉症・アレルギー性鼻炎の治療はどのように行われるのか?

 では、治療法について解説します。

 原因となるアレルゲンを回避することと薬物療法の組み合わせで治療されることが一般的で、ほとんどの場合この方法で症状をコントロールすることが可能です。

原因アレルゲンの回避

 原因となるアレルゲンの回避はよく行われる対策です。花粉症の時期になると、花粉症対策グッズがさまざまなお店で販売されます。

 ただ、ほとんどのアレルゲンは回避するのが困難です。アレルゲンの回避だけで対応しようとすると、その対策にかなりのコスト(お金や時間)がかかり、生活にもかなりの制限が加えられることがあります。また、ハウスダストなど屋内アレルゲンが原因のアレルギー性鼻炎の場合、アレルゲンを除去してから症状が改善するまでに3〜6ヶ月かかることもあると言われています。

 したがって、原因アレルゲンの回避だけで対応しようとするのではなく、薬物療法も同時に行うほうが生活の質を早期に向上させることができるのです。

 「原因アレルゲンの回避はほどほどに」ということで、以下の要点をまとめました。

 鼻うがいとダニ対策寝具カバーのおすすめを以下に紹介しておきます。

 では、次に薬を使った治療について解説します。

薬物療法

 花粉症・アレルギー性鼻炎の症状を早く改善させるためには、薬物治療はほぼ必須と考えて良いでしょう。さまざまな薬が治療として使われていますが、重要な薬剤のみここでは紹介します。

ステロイド点鼻薬

 ステロイド点鼻薬はアレルギー性鼻炎治療の第一選択薬です。副作用がほとんどなく、多くの方の鼻炎症状を改善させることができます

 注意点としては、効果が最大限出るまでに数日から数週間程度かかる、ということです。

 したがって、おすすめの使い方は定期的に毎日使う、ということです。

 ステロイドと聞くと副作用を心配される方がいらっしゃるかもしれません。確かに、経口ステロイド薬や注射のステロイド薬はさまざまな副作用があり、注意が必要です。しかし、点鼻のステロイドについては、使われるステロイドの量が少なく、しかも鼻粘膜のみに投与するので、長期間使っても大きな問題はないことが研究で示されています。マイナーな副作用として、臭い・味覚の変化・鼻出血などがあります。

 ステロイド点鼻薬は処方箋がなくても、ドラッグストアで購入が可能です(OTC薬)。具体的な薬剤名は後述します。長期間使っても問題ないことは前述の通りなのですが、OTC薬の場合は連用は3ヶ月以内とされています。

第2世代経口抗ヒスタミン薬

 第2世代経口抗ヒスタミン薬は、経口薬つまり「飲み薬」です。花粉症・アレルギー性鼻炎の薬としては最も一般的に使われている薬だと思います。この薬で、アレルギー性鼻炎のかゆみ・くしゃみ・鼻水を改善させることができますが、鼻詰まりをやわらげる効果はないといわれています。

 第1世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン)も同様の効果はあるのですが、鎮静作用(眠たくなる副作用)が強いため第2世代抗ヒスタミン薬を選択するのが望ましいです。

 第2世代経口抗ヒスタミン薬(ロラタジン、セチリジン、レボセチリジン、フェキソフェナジンなど)も市販されており、処方箋なしでドラッグストアなどで購入可能です。具体的な薬剤名は後述します。

抗ヒスタミン点鼻薬

 抗ヒスタミン薬には点鼻薬もあり、鼻詰まりやくしゃみをやわらげる作用があります。点鼻ステロイド薬の方が良い効果が期待できるので、総合診療医かずきとしては点鼻ステロイドを押していますが、弱点として効果が十分出るまでに少し時間がかかることでした。この抗ヒスタミン点鼻薬は使用後数分以内に効果があらわれるので、そういうメリットがあります。

 点鼻ステロイド薬と併用するという方法もありだと思っていて、実際に点鼻ステロイド薬と抗ヒスタミン点鼻薬を併用した臨床研究では、どちらか単独よりも鼻炎症状を改善させることが証明されています。

 しかし、日本で市販されている抗ヒスタミン点鼻薬には充血除去薬(=血管収縮薬)の成分が混合されています。そのため、処方箋なしで購入できる市販薬(OTC薬)でおすすめの抗ヒスタミン点鼻薬は残念ながらありません。

その他の治療薬

 その他の治療薬として、充血除去薬があります。充血除去薬には内服薬と点鼻薬があり、鼻詰まりがひどいときには効果が期待できるのですが、副作用があるのでおすすめできません。

 プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン、オキシメタリゾン、フェニレフリンが該当します。

 市販の多くの点鼻薬に含まれているナファゾリン・テトラヒドロゾリン・オキシメタゾリンもこれに含まれます。

 内服薬は血圧上昇・頻脈などの副作用があるため、高血圧やその他心疾患のある方には不適です。充血除去薬は点鼻薬もありますが、連用すると「薬剤性鼻炎」を起こす可能性があるため、2〜3日以上使用しないことが大切です

 やはり、ステロイド点鼻薬と第2世代経口抗ヒスタミン薬がおすすめになります。

 その他には、アレルゲン免疫療法という治療法もありますが、これについてはアレルギー専門医療機関での診療が必須になってくるので、ここでは割愛します。

市販薬で花粉症・アレルギー性鼻炎の症状をコントロールするために

 では、市販薬(OTC薬)で花粉症・アレルギー性鼻炎の症状をコントロールするために、どの薬を選ぶべきかについて解説します。前述の通り、ステロイド点鼻薬と第2世代経口抗ヒスタミン薬がおすすめで、ここでは具体的な薬剤名までご紹介します。

 実際に使用する際は、各薬品の「医薬品説明」文書をよく読んでから使うようにしてください。

ステロイド点鼻薬

 まず、おすすめのステロイド点鼻薬です。現在、市販薬(OTC薬)として処方箋なしで購入可能なのは以下の3剤になります。( )内は薬剤の一般名になります。

  • ナザールαAR(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)
  • パブロン鼻炎アタックJL(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)
  • フルナーゼ点鼻薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル)

 注意点としては、OTC薬については適応が季節性アレルギー性鼻炎のみになっていること、連用が3ヶ月までになっていること、ナザールαARとパブロン鼻炎アタックJLは対象が18歳以上、フルナーゼ点鼻薬は15歳以上、になっていることです。医療機関では、小児でも処方されたり、季節性アレルギー性鼻炎に限らずアレルギー性鼻炎であれば通年性でも適応になるのですが、市販薬(OTC薬)については適応や連用期間、対象年齢に制限が設けられています。

第2世代経口抗ヒスタミン薬

 点鼻薬に抵抗がある方は第2世代経口抗ヒスタミンがおすすめです。また、ステロイド点鼻薬だけでは十分に症状をコントロールできない方は、ステロイド点鼻薬とこの第2世代経口抗ヒスタミン薬の併用がおすすめです。

 前述の通り、第1世代経口抗ヒスタミン薬は鎮静作用(眠気)が強いので、おすすめしません鎮静作用(眠気)の少ない第2世代をおすすめします。商品名のあとに( )に一般名、そのあとに1日1回か1日2回かを記載します。

  • アレグラFX(フェキソフェナジン)1日2回
  • アレルビ(フェキソフェナジン)1日2回
  • クラリチンEX(ロラタジン)1日1回
  • ストナリニZジェル(セチリジン) 1日1回
  • タリオンAR(ベポタスチン)1日2回

 第2世代経口抗ヒスタミン薬は、第1世代よりも眠気が出ないようになっていますが、全く出ないわけではありませんので、ご注意ください。第2世代の中でも、フェキソフェナジン・ロラタジンはとくに眠気が出づらいといわれているので、眠気が気になる方はアレグラFX・アレルビ・クラリチンEXを選択すると良いでしょう。どれを選択しても効果に大きな差はないので、あとは好みで選べば良いでしょう。

こどもの花粉症、アレルギー性鼻炎はどうしたらよい?

 先にご紹介した3つステロイド点鼻薬の適応年齢は以下のようになっています。

ナザールαAR18歳以上
パブロン鼻炎アタックJL18歳以上
フルナーゼ点鼻薬15歳以上

 つまり、15歳未満の方は市販のステロイド点鼻薬は使えないことになります。

 一方、第2世代経口抗ヒスタミン薬のうち、フルナーゼには小児用があります。7歳以上であれば、処方箋なしで購入できます。

 7歳未満に使える市販薬もあるのですが、鎮静作用(つまり眠たくなる作用)のある成分(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン)が入ったものになってしまいます。総合診療医かずきとしては、あまりおすすめしません。

 医療機関だと、6ヶ月以上のお子さまであればアレグラ(フェキソフェナジン)などの第2世代経口抗ヒスタミン薬は処方可能なのです。処方箋が必要なので、7歳未満のお子さまについては医療機関への受診をおすすめします。

 前述のように、2歳未満では花粉症・アレルギー性鼻炎は稀なので、他の疾患を考えなければなりません。やはり医療機関への受診をおすすめします。

まとめ

 重要ポイントを以下にまとめます。

  • アレルギー性鼻炎は、アレルギーの原因となる物質が鼻腔粘膜上皮に浸透してIgEを産生し、それによって鼻水、鼻詰まり、くしゃみ、目・鼻・喉などのかゆみ、といった症状を引き起こす病気
  • 花粉と関連してアレルギー性鼻炎の症状を呈する方(医学的には季節性アレルギー性鼻炎)に対して、花粉症という言葉が使われている。
  • 花粉症を含むアレルギー性鼻炎の診断は臨床診断によってなされることがほとんどであるため、血液検査や皮膚プリックテストなどの検査は不要
  • よくある「水様の鼻水、鼻詰まり、くしゃみ」や「目のかゆみ」といった症状以外に、「喉」「耳」に症状が出ることもある。一方、「発熱」はアレルギー性鼻炎の症状らしくない。
  • 医療機関を受診しても特別な検査は行われないことが多いので、上記の症状がある程度揃っていればアレルギー性鼻炎と判断して大きく間違えることはない。さらに、花粉の飛散時期に一致して症状が出るようであれば花粉症と考えて良い。ただ、2歳以下の花粉症・アレルギー性鼻炎は稀。
  • アレルギーの原因(アレルゲン)回避のため、花粉など屋外アレルゲン対策としてマスク・鼻洗浄、ハウスダストなど屋内アレルゲン対策としてダニ対策寝具カバー装着などを検討するが、原因回避だけで症状をコントロールしようとするとコストと時間がかかる。アレルゲン回避はほどほどにして、薬物療法を組み合わせるのがおすすめ。
  • 薬物療法としては、ステロイド点鼻薬と第2世代経口抗ヒスタミンがおすすめで、いずれも市販薬(OTC薬)なので処方箋なしで購入可能。使用の際は、薬品説明文書をよく読んでから。
    • ステロイド点鼻薬
      • ナザールαAR 18歳以上
      • パブロン鼻炎アタックJL 18歳以上
      • フルナーゼ点鼻薬 15歳以上
    • 第2世代経口抗ヒスタミン薬
      • アレグラFX
      • アレルビ
      • クラリチンEX
      • ストナリニZジェル
      • タリオンAR
    • ステロイド点鼻薬が一押し、ただ効果が最大限発するまでに数日から数週間かかる。毎日定期的に使うのがおすすめ。
    • ステロイド点鼻薬だけで症状がコントロールできないときや早期に症状をコントロールしたいときは、ステロイド点鼻薬と第2世代経口抗ヒスタミン薬を併用する。
    • 7歳から14歳の方は、「アレグラFXジュニア」がOTC薬として購入可能
    • 7歳未満の方は医療機関への受診を推奨

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