医師が勧める認知症を予防するためにするべきこと3選

認知症

はじめに

 高齢社会が進むにつれ認知症の方はどんどん増えています。自分が認知症になるのではないかと心配される方も多いと思います。そういう僕もとても心配です。認知症をどのようにして予防するか知りたいですよね。総合診療医かずきが最新の医学的論文をもとに、認知症予防のためにすべきことを解説します。この記事を読んで実行することで、将来認知症になるリスクを減らすことができるようになります。

認知症を予防するためにすべきこと3選

  • 運動
  • 認知トレーニング
  • 血圧コントロール

運動社会的活動血圧コントロール、このの3つが認知症を予防するためにすべきことです!

2017年に医学雑誌Lancetに掲載された論文で、認知症の発症に関連するリスク要因についてレビューされています。これら3つのうちひとつを行えば認知症を予防できるというわけではありませんが、3つをすべて行う、特に中年期(45歳から65歳)に集中的に行うことで、かなりの数の認知症の発症を遅らせたり予防できると考えられているのです。

これらについてひとつずつ解説していきます。

運動

 多くの観察研究で、身体運動と認知症のリスクには逆相関があることが証明されています。観察研究というのは認知症のある人と認知症のない人を比較して、どのような違いがあるかを調べた研究のことです。現時点で認知症がない人たちを、運動する群と運動しない群にグループ分けして、その後の認知症の発生を調べるような研究(このような研究を「前向き研究」と言います)で、介入効果が証明されたわけではありません。

 こう言うと、「運動しても将来認知症を予防できるかはまだはっきりしていないから、やっても意味ないのでは」と思われる方もいらっしゃると思います。

 この考え方は確かにその通りなのですが、前述の通り単一の介入で認知症を予防できるというものは現時点では存在せず、3つのことをすべて行うことで効果が期待できるというのが現在の医学的な正解となりますので、運動は重要です。同時に認知トレーニングや血圧コントロールも同様に重要、ということになります。

 では、どのような運動がおすすめなのでしょうか。

 実は、どのような運動が良いかということに関して質の高い研究結果はありません。いくつかの研究結果を紹介しますと、認知症と診断された患者では診断の最大9年前から運動レベルが低下していることが指摘されています。また、中年期の心肺機能レベルが後の人生での認知症リスクを予測できる可能性を指摘した研究もあります。これらのことから推測すると、中年期において心肺機能を高めるような運動を行う(例:有酸素運動など)ことが認知症予防には良いと考えられます。具体的には、ウォーキングやジョギング、水泳などが望ましいでしょう。ただ、自分が楽しめて、ある程度心肺機能を高めてくれるようなものであれば何でも良いと思います。

 ちなみに私はスポーツをやっているので、心肺機能を高めるためにHIIT(high intensity interval training)をやっていますが、めちゃくちゃきついトレーニングなのでアスリート以外の方には全くお勧めしません。

認知トレーニング

 記憶トレーニングなど、認知機能のトレーニングは短期的に高齢者の認知機能にプラスの効果があると言われています。ただ、長期的な影響についてはまだ明確に証明されておらず、現在も大規模な研究が継続中です。

 長期的な効果についてはまだ研究段階ではありますが、認知症予防のためにやれることはやっておくという意味で認知トレーニングに取り組むのも良いと思います。書店では脳トレ用の計算問題、漢字問題などのドリルが販売されていますし、スマートフォンのアプリやウェブ上で行える脳トレゲームも増えています。

血圧コントロール

 2011年に発表された論文(Lancet Neurol. 2011;10(9):819.)によると、7つの修正可能なリスク要因(糖尿病、中年期高血圧、中年期肥満、喫煙、うつ病、認知的不活動、身体不活動)などの危険因子を10~25%減らすとアルツハイマー病症例の最大半数を予防できる可能性があることが示唆されました。糖尿病・高血圧・肥満・喫煙は血管系の疾患(狭心症、心筋梗塞、脳卒中など)の危険因子とされており、これらの血管系リスクを低減させることは認知症予防のためにも大変重要です。血管系リスクを低減させることは心臓疾患や脳卒中の予防にもなりますから、健康で長生きするためにはとても重要なことですよね。

 高血圧は認知症のリスク増加と関係しています。とくに中年期に血圧をしっかりコントロールすることが重要だと言われています。ある研究では、高血圧の有病率を25%下げると、アルツハイマー病の発症を約10万件減らすことができると推定されています。

 血圧の目標値は130/80mmHg未満です。ご自身の血圧がわからない方は、まず測ってみることから始めましょう。

まとめ

認知症の予防のためにすべきことは

  • 運動
  • 認知トレーニング
  • 血圧コントロール

この3点です。特に中年期にこれら3つすべてを集中的に取り組むことで、認知症をかなり予防できます。ぜひ、取り組みたいですね。

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