はじめに
健診などで血圧が高いという指摘を受けて不安になっている方、両親が高血圧で自分もそうなるのではないかとご心配の方、実際に高血圧で治療中の方、自宅で血圧を測った方が良いのかな?でも本当に必要なのか?と悩んでいませんか?
ここでは、自宅での血圧測定(以後、「家庭血圧」)について、その意義とやり方についてわかりやすく解説します。この記事を読むことで、家庭血圧の重要性や正しい測定方法を理解することができるようになります。
家庭血圧って大切なの?
結論からいうと家庭血圧は、けっこう重要です。
と言われても、なぜ重要かを理解しないと納得できないですよね。今から解説します。
家庭血圧に対して、病院や診療所で測る血圧のことを「診察室血圧」と言います。実際は診察室ではなく診察室に入る前に前室や廊下で測っている場合が多いかもしれませんが、まあ病院や診療所で測る血圧のことと考えて下さい。
それで、この「診察室血圧」と「家庭血圧」に違いがある方がけっこう多いのです。「病院で測ると血圧が高いけど、家ではぜんぜん高くないんだよ」というパターン、これを「白衣高血圧」と言います。白衣高血圧の方の場合、本来は高血圧ではない方にお薬を処方して治療してしまうというリスクがありますし、すでに治療中の方にはお薬を過剰に処方してしまうというリスクもあります。
逆に、病院では高くないのに家で測ると高いというパターンの方もいます。これを「仮面高血圧」と言います。仮面高血圧の方の場合、本来は治療が必要であるにもかかわらず放置されてしまうというリスクがあります。
これらのリスクを減らすためには、家庭血圧の測定が重要になってくるわけです。ただ、血圧はちょっとしたことですぐに変動するので、正しい方法じゃないと正確に血圧を測ることはできません。
それでは、次に家庭血圧の正しい測定方法についてわかりやすく解説します。
正しい家庭血圧の測り方
正しい家庭血圧の測り方について以下にまとめました。
- 朝(起床後)1時間以内(排尿後、朝の服薬前、朝食前)、および晩(就寝前)に測定しましょう。
- 座って1-2分安静にしたあとに測定しましょう。
- 一度に「原則2回」測定し、その平均をその時の血圧としましょう。(1回のみの測定の場合は、その値をその時の血圧とする。)
- 測定したら記録用紙に記載しましょう。
- 診察の時に持参し、主治医に見せましょう。
- 毎日が大変であれば、週3回程度の測定でも良いでしょう。
- 1日2回が大変であれば、朝の1回でも良いでしょう。
これを見て「ちょっと面倒だなぁ」と思った方もいらっしゃると思います。なぜ、このような測り方にしなければいけないのかについて、少し解説を加えますね。
できれば、朝(起床後1時間以内)と晩(就寝前)の2回測定
朝は1日のなかで最も血圧が高くなりやすい時間帯です。一方、晩は最も血圧が低くなりやすい時間帯です。そのため、両方の血圧を把握することが重要になるのです。
ただ、1日2回も大変だよという方も多いと思います。その場合は、朝の測定を優先しましょう。ただ、朝は忙しくて大変という方もいらっしゃると思います。そのような方は、毎日同じ条件で測定できる時間帯みつけて、そこで血圧測定をつづけましょう。
座って1-2分安静にしてから測定
この1-2分の安静がとても重要です。自宅内であっても、歩いてきて座ってすぐに測定すると高く出ることが多いので、座ったあとにしっかりと安静を保ってから測るようにしましょう。
血圧測定を避けるべきタイミングは?
膀胱に尿が溜まっているいるとき、精神的なストレスを感じているとき、運動・カフェイン・喫煙から30分以内、は血圧が変化するので、このようなタイミングで測定するのは避けましょう。
体調不良があるときに血圧を測る方も多いようですが、このような時の血圧は普段の血圧とは大きく異なっていることが多いので、普段の血圧管理においてあまり参考にはなりません。体調不良のときは、それにつられて血圧も上がっていることが多いのですが、ほとんどの場合、血圧が上がったことによって体調不良が起こっているわけではありません。血圧上昇が原因で症状が出るのはごくごく稀なケースです。ちょっとした体調不良を血圧のせいにしないようにしましょう。
症状がなく体調が普段通りのときに血圧がどの程度なのか、が血圧管理では最も重要なのです。
一度に「原則2回」測定し、その平均がそのときの血圧 でも1回でもOK
何度か測定して一番低い血圧を記録している方も多いと思いますが、2回測定して平均をその時の血圧にするのが2019年の高血圧治療ガイドラインでは推奨されています。患者さんはよく「最初の血圧が高くて、何度か測ります」とおっしゃるのですが、これは前述の「測定前の1-2分の安静」ができていないケースが多いです。椅子に座ってから十分な安静を取って測定しましょう。
2回測定するのが面倒という方は1回測定でもOKです。3回測定した場合は3回の平均をその時の血圧としましょう。
毎日測定するのが望ましいのですが、週3回でもOK
毎日測定にこだわりすぎる必要はありません。週3回でも、主治医としてはとても参考になります。病院と自宅の血圧の間にかなり差がある方はけっこういるので、家庭血圧の情報はかなり重要なのです。
血圧を測定したら記録用紙に記載して、受診のときに主治医に見せましょう
せっかく血圧を測ったのであれば、ぜひ記録してそれを主治医に見せてくださいね。そうしないともったいないですから。
手首で測る血圧計と腕(上腕)で測る血圧計、どちらが良いの?
手首血圧計は使いやすいのですが不正確になりやすいと言われています。腕(上腕)で測定する血圧計を用いるようにしましょう。手首血圧計よりも上腕血圧計の方がやや高価ではありますが、せっかく手間をかけて血圧を測るのですから、正確じゃないと意味がありませんよね。
高血圧ガイドライン2019には「(前略)上腕家庭血圧測定計の精度は、わが国の製造会社の装置であれば大きな問題はない。」と記載されているので、日本製のものを購入するとよいでしょう。
まとめ
家庭血圧の測り方について解説しました。冒頭にも載せましたが、以下に再掲します。正しい方法で家庭血圧を測って、ご自身の健康に役立ててください。
- 朝(起床後)1時間以内(排尿後、朝の服薬前、朝食前)、および晩(就寝前)に測定しましょう。
- 座って1-2分安静にしたあとに測定しましょう。
- 一度に「原則2回」測定し、その平均をその時の血圧としましょう。(1回のみの測定の場合は、その値をその時の血圧とする。)
- 測定したら記録用紙に記載しましょう。
- 診察の時に持参し、主治医に見せましょう。
- 毎日が大変であれば、週3回程度の測定でも良いでしょう。
- 1日2回が大変であれば、朝の1回でも良いでしょう。
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