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インフルエンザ 完全解説 2025〜2026シーズン

感染症
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はじめに

 インフルエンザの症状・検査・治療・予防法まで分かりやすく、かつ詳細にお伝えします。2024年から、新しく経鼻生ワクチン(フルミスト)増えました。従来の不活化ワクチン(注射)と詳細に比較して解説します。インフルエンザの迅速検査キットの特徴・いつ検査を受けるべきか、抗インフルエンザ薬の種類・それぞれの特徴、いつまで休むべきか、などについても科学的根拠に基づいて説明しています。


感染経路と潜伏期・感染性

感染はどう広がる?

  • 主に飛沫感染(咳・くしゃみ・会話で飛ぶしぶき)。
  • しぶきが付いた手で目・鼻・口に触れることで接触感染も起こり得ます。

潜伏期

  • 1〜4日(平均2日)。症状が出る前から周囲にうつす可能性があります。

いつまで感染性がある?

  • **症状出現の直前(0〜24時間)**からウイルス排出が始まり、
  • 発症後24〜48時間がピーク、
  • 5〜10日後にはほとんど検出されなくなる傾向が報告されています。

症状と経過

典型的な症状

  • 38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感が急に出現。
  • 咽頭痛・鼻水・咳などの上気道症状も見られます。

通常は**3〜7日(多くは5日以内)**で自然に改善に向かいます。

療養のめやす(学校保健法の考え方を参考に)

  • 発症から丸5日以上経過し(発症日は0日目として数える点に注意)、
  • 解熱後2日以上(幼児は3日以上)あける。
    成人に法的なしばりはありませんが、同様の基準に従うと周囲への配慮になりますし、職場でのアウトブレイク予防のためにも重要です。
    なお、上記を満たしても7日目まではウイルス排出の可能性があるため、外出時のマスク着用が望ましいです。

合併症とハイリスク群

主な合併症

  • 細菌性肺炎(おおむね1〜2%):高齢者や慢性疾患のある方で増加。
  • 心臓合併症:急性心筋梗塞・心筋炎・心膜炎など。
  • 中枢神経合併症:けいれん、脳症・脳炎、ギラン・バレー症候群 など。

ハイリスク群(とくに注意)

  • 65歳以上(入院の約70% 死亡の約90%が高齢者)
  • 5歳未満(特に2歳未満)
  • 妊婦
  • 慢性疾患(呼吸器、心臓、肝臓、腎臓、糖尿病、血液・神経疾患、がん)
  • 免疫抑制状態(ステロイドや生物学的製剤使用など)
  • 高齢者施設等の入所者

医療機関を受診した方に限ると、インフルエンザの致死率は全体で約0.09%と決して高くはありませんが、年齢が上がると死亡率も徐々に上がります。


 65歳以上で全体の平均死亡率を上回るようになり、90歳を超えると3%を超えるようになります。

診断:検査と臨床判断

迅速抗原検査(鼻咽頭ぬぐい)

  • 特異度は高いものの、感度はやや劣るため、陰性でも否定しきれない点に注意。
  • 陽性であれば診断の裏付けになります。

PCR検査

  • 正確だが時間や体制の都合で、一般診療ではほぼ行われていません

臨床診断

  • 流行状況、症状推移、家族や職場での発症情報などを総合して、検査なしでも診断することがあります(臨床診断)。前述の通り、インフルエンザの検査で陰性でも否定できない場合があります。状況によっては検査をせずにインフルエンザの診断をした方が適切な場合もあります。インフルエンザの診断に検査は必須ではないので、臨床診断も有効な診断方法なのです。

 これは「迅速検査キット」と「臨床診断」を比較したものですが、特異度に違いはあるものの、感度は両者にほとんど違いがありません。

検査するタイミングと検査感度

 検査するタイミングによっても検査感度が変わってきます。以下の資料をご覧ください。

 これをみると、発症1日目は感度が低いことがわかります。つまり、インフルエンザに罹っていても検査で陰性に出てしまう(偽陰性)可能性がそれなりにあるということです。また、発症から48時間以上経過すると、また感度が下がってきてしまいます。

インフルエンザの迅速検査は発症後24〜48時間で受けるのがおすすめ

番外編:セルフ検査は「使いどころ次第」

  • 市販の抗原検査キットで自宅検査を行う方法もあります。
  • 市販のキットは、鼻腔ぬぐい液で検査します。一方、医療機関では鼻咽頭ぬぐい液で検査します。似ているようで少し違っています。鼻咽頭ぬぐいの場合、かなり鼻の奥まで綿棒を突っ込むことになります。鼻腔ぬぐいの場合は2cm程度入れるだけになります。鼻腔ぬぐいは楽なのですが、鼻咽頭ぬぐいに比べて若干検査感度が落ちてしまいます。
  • 医療機関を受診するタイミングの見極め、同居家族への配慮判断の材料にはなりますが、陰性でも完全には否定できないので、注意が必要です。

治療:対症療法と抗インフルエンザ薬

対症療法

  • 解熱薬・鎮痛薬(例:アセトアミノフェン)
  • 咳止め・去痰薬 など、症状に合わせて。
  • 水分補給・休養が基本。高齢者では脱水に注意してください。

抗インフルエンザ薬(内服/吸入/点滴)

  • 発症から48時間以内に開始するのが効果的とされます。
  • 一般的な方症状期間を約1日短縮
  • ハイリスク群入院を減らす可能性。
  • 入院患者入院期間の短縮や死亡の減少に寄与

総合診療医かずきのおすすめ

  • オセルタミビル(商品名:タミフル)の後発品(ジェネリック)が最もコスパが良い
  • どの薬も効果に差はないので、そうであれば最も安価な薬が良い。
  • ハイリスクの人や入院患者さんは抗インフルエンザ薬を服用した方が良い。
  • リスクのない人で、有症状期間を1日短縮するということに意義を感じない場合は、抗インフルエンザ薬を使わずに対症療法のみで回復を待つというのも選択肢のひとつ。検査もセルフ検査、対症療法は市販薬で済ませて、医療機関を受診しないという対応法もあり得る。

予防:流行期のふるまいとワクチン

行動での感染予防

  • 2メートル以上の距離またはマスクの適切装着(鼻と口を覆う)
  • 可能なら目の防護(花粉症用メガネ等)も。
  • こまめな手指衛生、人混みでの会話時間の短縮

コロナ禍で社会全体がマスクを徹底した時期、インフルエンザの流行がほとんど見られなかった経験は示唆的

インフルエンザワクチン(2025シーズン)

最初にまとめを書きます。

  • 不活化ワクチン(注射):従来型。毎年秋に接種。
  • 経鼻生ワクチン(フルミスト点鼻®)2024年9月26日に国内発売。痛みが少ない。1回で済む。2から18歳には新しい選択肢になる。
  • 接種の意義:重症化・入院のリスクを下げることが期待される。
  • 対象の考え方65歳以上、基礎疾患のある方、医療・介護従事者、妊婦・乳幼児の同居家族 などは接種の優先度が高い
  • リスクが高くない人でもワクチンの効果に納得ができれば接種

ワクチン効果(VE)について

 最初にワクチンの効果をどう表現するかについて解説します。

従来の不活化ワクチン(注射)の効果(VE)

ワクチン接種すべき人は?

新しい点鼻ワクチン(フルミスト®)について

 経鼻生ワクチンは、2〜18歳の方には新しい選択肢になります。12歳までは、従来の不活化ワクチンだと2回接種が必要でしたが、この経鼻生ワクチンは1回で済みます。これは大きなメリットですね。でも、実は海外では注射の不活化ワクチンも、今までに2回接種していれば、1シーズンに1回でやっているのです。

まとめ

  • インフルエンザは飛沫・接触で広がり、潜伏1〜4日。発症直前から感染性があります。
  • 症状は高熱・強い全身症状が目立ちますが、個人差があります。多くは5日以内に改善。
  • **ハイリスク群(65歳以上、基礎疾患、妊婦、免疫抑制など)**では合併症に注意。高齢になればなるほど死亡率は高くなる。
  • 診断は、迅速抗原検査(鼻咽頭ぬぐい)と臨床診断がある。
  • 迅速抗原検査は、感度がやや低く、特異度が高い。つまり、検査で陽性であれば診断はほぼ確定だが、陰性のときに否定できない場合がある。(見逃しがありえる。)
  • 見逃しを避けるために、症状出現後24〜48時間で検査をするのが望ましい。
  • 抗インフルエンザ薬は48時間以内の開始がカギ。リスクのない人では症状期間を約1日短縮、リスクの高い方では入院を減少させる効果が期待できる。
  • マスク・距離・手指衛生・目の保護などの行動、そしてワクチン接種が予防の要。
  • 不活化ワクチン(注射)は、発症を約6割へらし、入院を半減させる
  • 2歳〜18歳の方は、2024年から販売開始になった経鼻生ワクチン(フルミスト®)が選択肢のひとつになる。発症予防効果については、従来の不活化ワクチンよりも有効である可能性がある。
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