はじめに
皆さまのご自宅には、どのような医療機器がありますか?
体温計はほとんどの方が持っているでしょう。血圧計もあるよ、という方もいらっしゃるかもしれません。
パルスオキシメーターを持っている方はどれくらいいるでしょうか?パルスオキシメーターというのは、指にはさめる小さな器械で、酸素飽和度を測定することができます。酸素飽和度とは、血液の中の赤血球に含まれるヘモグロビンのうち酸素と結合しているヘモグロビンの割合を示す値で、これによって血液中にどの程度酸素が含まれているかを知ることができます。
酸素飽和度を測定することができるこのパルスオキシメーター、以前は高価で一般の方が購入するのは難しかったのですが、現在はお手軽な価格で購入可能となってきました。体温計と同じような感覚で一家に一台、持っておくべき医療機器だと思います。
ここでは、酸素飽和度でどのようなことが判断できるのか、おすすめのパルスオキシメーターはどれか、について解説します。
酸素飽和度が重要すぎる理由
この酸素飽和度(SpO2)、実は血圧・脈拍・体温・呼吸数に並んで非常に重要なバイタルサイン(生命兆候)と言われています。医療現場ではとても重要視されている数値なのです。極論すると、最近は呼吸数よりも重要視されていると言っても過言ではないと思うのです。
呼吸数は大変重要なバイタルサインなので、これを軽んじるわけにはいかないのですが、酸素飽和度が重要であることは間違いありません。
例えば、新型コロナ感染症の重症度は酸素飽和度が基準になっています。酸素飽和度が96%以上であれば「軽症」、93%以下であれば中等症Ⅱに、その間だと中等症Ⅰに分類されます。つまり、新型コロナ感染症で自宅療養しているとき、パルスオキシメーターが自宅にあればその値を参考にどのタイミングで病院を受診するべきかを判断することができるのです。酸素飽和度が96%以上保たれていればそ
のまま自宅を様子をみていて良いし、逆に酸素飽和度が95%以下になったら医療機関を受診したほうが良い、ということになります。
酸素飽和度をどう解釈するか?シンプルに解説
新型コロナ感染症の際の酸素飽和度の解釈を前述しましたが、一般的に酸素飽和度をどのように解釈すべきかをできる限りわかりやすく解説します。
酸素飽和度の正常値は96〜99%
まず正常値を把握しておきましょう。96〜99%が正常値になります。この範囲にあるときは、とりあえず安心して大丈夫です。酸素の量は保たれているので、緊急性はありません。
酸素飽和度 90%未満→超緊急 すぐに救急車を呼ぶべき
タイトル通り、酸素飽和度(SpO2)90%未満は超緊急状態です。すぐに救急車を呼ぶべきです。酸素飽和度(SpO2)90%未満というのは、身体に必要な酸素が不足している(このことを低酸素血症といいます)ことを意味しているので、酸素投与を行わないとどんどん状態が悪化していきます。大至急救急車を呼んで、酸素投与をしてもらいつつ医療機関に搬送してもらうべきなのです。
酸素飽和度 90〜95%→準緊急 医療機関への受診が必要
酸素飽和度は90〜95%の場合、これは超緊急ではないにしても医療機関への受診は必要な状態です。
緊急性については、その時の症状で決めましょう。呼吸苦がつらいときは救急車を呼んでも良いでしょう。呼吸苦がそうでもなければ自ら医療機関に受診しに行っても良いです。ただ、そのまま放置せず、必ず受診すべき状態であることは覚えておきましょう。
おすすめのパルスオキシメーター
一家に一台、持つべき医療機器としてパルスオキシメーターをおすすめしていますが、では実際どのパルスオキシメーターを購入すべきかについて解説します。
安価なものから高価なものまで、さまざまな種類のパルスオキシメーターがあります。その中からおすすめするのは、医療機器認証を受けているメーカーのものになります。市販されているパルスオキシメーターのほとんどは家庭用で、医療機器認証は受けていないものです。
具体的な商品をご紹介します。
医療機関でよく使われているオムロンのパルスオキシメーターです。オムロンの中でも高価なものから比較的安価なものまでさまざまなものがありますが、家庭用として使う場合そこまで高価なものは不要です。
このHPO-100であれば、そこまで高価ではなく必要な機能は備わっています。実際に医療機関でも使われている製品なので、信頼感があります。このHPO-100は対象年齢が7歳以上になっています。1万円あれば購入できると思います。
7歳未満のお子さまにも使えるものとしては、以下のものがあります。
このパルスオキシメーターに小児用のクリッププローブを装着して使う形になります。本体と小児用プローブをあわせると2万円を超えてしまうので高価ではありますが、気管支炎や喘息を起こしやすいお子さまがいる場合、持っていて損はないと思います。
酸素飽和度が正しく測定できないとき
パルスオキシメーターは酸素飽和度が簡単に測定できるとても有用な医療機器なのですが、正しく酸素飽和度が出ない場合があります。以下に代表的なものをまとめました。
- 指先が冷たくなっているとき
- 指先の血流が不十分なとき(例:血圧が低いとき、指に圧がかかっているとき、など)
- 指がむくんでいるとき
- 爪にマニキュアがついているとき
- 指を動かしているとき
- 機械が不調なとき
このようなときは酸素飽和度の値が正しくないことがあるので、注意が必要です。
まとめ
重要ポイントをまとめます。
- パルスオキシメーターというのは、指にはさめる小さな器械で、酸素飽和度を測定することができる
- 酸素飽和度(SpO2)、実は血圧・脈拍・体温・呼吸数に並んで非常に重要なバイタルサイン(生命兆候)
- 以前は高価だったが、現在はお手軽な価格で購入可能となってきた。体温計と同じような感覚で一家に一台、持っておくべき医療機器
- 酸素飽和度の正常値は96〜99%
- 酸素飽和度 90%未満→超緊急 すぐに救急車を呼ぶべき
- 酸素飽和度 90〜95%→準緊急 医療機関への受診が必要
- 症状がつらいときは救急車を呼んでも良い
- おすすめのパルスオキシメーターは、医療機器認証を受けているもの
- 7歳以上→オムロン パルスオキシメータ HPO-100
- 7歳未満→カスタム パルスオキシメーター パルスエクステリオル PLS-10に小児用クリッププローブ PLS-10CCなどを装着して使用
- 酸素飽和度が正しく測定できないとき
- 指先が冷たくなっているとき
- 指先の血流が不十分なとき(例:血圧が低いとき、指に圧がかかっているとき、など)
- 指がむくんでいるとき
- 爪にマニキュアがついているとき
- 指を動かしているとき
- 機械が不調なとき
以上、参考になれば嬉しいです。
コメント