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帯状疱疹〜完全解説2025

よくある病気
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 「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」は、水痘(みずぼうそう)のウイルスが原因で起こる病気です。
子どものころに水痘にかかると、ウイルスは体の中の神経節に潜伏します。
そして、加齢や免疫力の低下をきっかけに再び活動を始め、神経に沿って痛みと発疹を生じるのが帯状疱疹です。

 日本人の約9割が潜伏感染しており、85歳までに約2人に1人が発症すると言われています。
ここでは、医師の視点から一般の方にもわかりやすく、原因から治療、予防までを詳しく解説します。

原因:水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)

帯状疱疹は、**水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)**の再活性化によって起こります。

  • 初感染:子どもの頃の「水ぼうそう」
これが水痘(水ぼうそう)の画像です。全身に皮疹が出ます。左は水疱の状態で、時間が経つと右のように痂皮化します。全てが痂皮化すると感染性がなくなります。
  • 潜伏:感染後、ウイルスは神経節に潜伏
  • 再活性化:免疫力が落ちたときにウイルスが再び活動し、皮膚に発疹を起こす。これが帯状疱疹です。帯状疱疹のときは、全身ではなく神経節に一致して一部に皮疹と痛みが出ます。
BruceBlaus, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

再活性化のきっかけは以下のような「免疫力の低下」です。

  • 加齢(特に50歳以上)
  • ストレス、過労、睡眠不足
  • 病気や薬による免疫抑制(がん治療・ステロイド使用など)
  • HIV感染、移植、自己免疫疾患など

帯状疱疹は最近増えている?

 増えています‼️

 日本では2014年から水痘ワクチンが定期接種化され、水痘患者数は減少しました。
一方で、帯状疱疹の発症率はやや増加傾向という報告もあります。
これは、水痘患者と接する機会が減り、免疫刺激(ブースト)が減ったためと考えられています。

発症しやすい人の特徴

年齢と発症率

  • 50歳以上で発症が急増
  • 60歳以上で全体の約40%を占め、85歳までに約半数が経験
  • 高齢になるほど「帯状疱疹後神経痛(PHN)」のリスクが高くなる

免疫が弱っている方

  • がん治療中、移植後、自己免疫疾患の治療中(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など)
  • HIV感染者

その他のリスク因子

  • 女性:やや発症しやすい傾向
  • 外傷:とくに頭部外傷は、1週間後に頭部帯状疱疹を起こすリスクが25倍に
  • 慢性疾患:慢性肺疾患や慢性腎臓病を持つ方も発症しやすい

症状:皮疹の前から「ピリピリ痛い」ことも

痛み

  • ピリピリ・ズキズキ・刺すような痛み・しびれ感など。皮疹の数日前から始まることが少なくありません。

皮疹

  • 体の片側で、神経の通り道(皮膚分節)に沿って現れます。盛り上がった赤い発疹 → 水疱 → かさぶた(痂皮化)へと経過します。
  • すべて痂皮化すると感染性はほぼなくなります。

合併症

帯状疱疹後神経痛(PHN)

発疹が治っても痛みが続くことがあります。3ヶ月以上痛みが続くと帯状疱疹神経痛(PHN)になります。

  • 発症者の約10〜15%に生じる
  • 60歳以上では全体の半数近くを占める
  • 80歳以上では約20%が長期の痛みに悩まされる

痛みは「焼けるよう」「針で刺されるよう」と表現され、睡眠や生活に支障をきたすことも。ワクチン接種により、発症してもPHNのリスクを下げられることが報告されています。

眼の帯状疱疹

  • 角膜炎や視力障害の原因になることがあります。
  • 鼻の横に発疹が出たら**眼の神経(三叉神経第1枝)**の関与を疑い、眼科受診が望ましいです。

Burntfingers, CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons

耳の帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)

  • 顔面神経麻痺、難聴、耳鳴り、めまいなどを伴うことがあります。
  • 耳鼻咽喉科での治療が必要です。

診断:見た目で診断できることがほとんど(臨床診断)

  • 典型的な皮疹と痛みがあれば、臨床診断が可能。
  • 特殊な検査は不要なことが多いです。
  • 皮膚科または総合診療医・家庭医が適しています。
    • 症状が多岐にわたる場合、全身的に診られる医師が望ましいので、総合診療医・家庭医をおすすめします。
    • 総合診療医・家庭医または皮膚科に相談し、そこから必要があれば各専門科に紹介してもらうのが良いでしょう。

治療:72時間以内に‼️

抗ウイルス薬

 発疹が出てから72時間以内に内服を開始するのが望ましいと言われています。

  • バラシクロビル(バルトレックス®)
  • ファムシクロビル(ファムビル®)

受診時には直近の血液検査結果を持参することを忘れないようにしましょう‼️ 腎機能に応じて適切な投与量を調整してもらえます。

鎮痛薬

 抗ウイルス薬の他に鎮痛薬も使われます。

  • 一般的な鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)
  • 神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)

他の人に伝染るのか?

 帯状疱疹自体は人から人に直接うつることはありませんが、水痘にかかったことがない人ワクチン未接種の人には、「水痘(水ぼうそう)」として感染する可能性があります‼️

感染予防のポイント

  • 発疹部位はガーゼなどで覆う
  • ワクチン未接種で水痘既往のない人との接触を避ける

すべての発疹が痂皮化すれば感染性はなくなります。

予防はワクチン

ワクチンの種類

  • 水痘生ワクチン(1回接種)
  • 不活化ワクチン(シングリックス®)(2回接種)

 それぞれの特徴を以下の表にまとめました。

  • 効果が高いのは不活化ワクチン(シングリックス®)
    • 生ワクチンは5年くらいで効果がなくなる
    • 不活化ワクチンは少なくとも10年は効果持続する
  • 効果が高い不活化ワクチンは値段も高い!
  • 効果が高い不活化ワクチンは副反応も多い!

おすすめは

  • 50歳以上の方はワクチン接種を検討
  • 不活化ワクチンの方が予防効果が高い
    • ただし、費用が高く一時的な副反応(発熱・倦怠感など)がある
    • 免疫不全のある18歳以上でも接種可能
年齢・状況推奨されるワクチン
50歳未満で水痘罹患歴がない または不明水痘生ワクチンを2回接種
50歳以上水痘生ワクチンか不活化ワクチン
不活化ワクチンを推奨します
免疫不全のある18歳以上不活化ワクチン(生ワクチンは接種不可)

公費助成

 65歳以上では、自治体によって接種費用の一部補助制度があります。詳細は自治体HPを確認してください。

まとめ

  • 帯状疱疹は、水痘ウイルスの再活性化で起こる病気。
  • 50歳以上で急増し、3人に1人以上が経験する。
  • 早期の受診と抗ウイルス薬治療が重要。
  • 帯状疱疹後神経痛(PHN)は高齢者ほど重くなりやすい。
  • ワクチン接種で予防が可能。

もし、ピリピリとして痛みが身体の片側に出現して、その皮膚に赤い発疹が現れたら、それは帯状疱疹のサインかもしれません。早めに医療機関を受診することをおすすめします。

 帯状疱疹について、YouTubeにも動画を投稿しています。ぜひご覧ください。

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